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2024

肺吸虫(1)

 肺吸虫はアジアを中心にラテンアメリカやアフリカに分布し※1 、日本では、ヒトに寄生する種としてウェステルマン肺吸虫と宮崎肺吸虫の2種類が知られています。
 肺吸虫は、中間宿主を経て終宿主となるタヌキやイヌ・ネコなど哺乳類の肺実質内で成虫になります。終宿主の喀痰や糞便とともに排出された虫卵は、水中でミラシジウム※2 を形成し、これが第1中間宿主の巻貝に入ります。ミラシジウムは、その貝内でセルカリア※3 へと成長変態します。セルカリアは短い尾を持ち、貝から遊出して第2中間宿主のサワガニやモクズガニなど淡水産蟹類に侵入し、メタセルカリアになります。そしてこのカニが、終宿主となる哺乳類に食べられるのを待ちます。ヒトは、カニの生食、もしくはイノシシ肉やシカ肉の生食により感染し、日本人感染者の多くは後者によると報告されています。イノシシやシカはカニの摂食で感染し、待機宿主として筋肉内に幼若虫を保有するため、ヒトが生肉を食べると感染が成立します。
 千葉県のある河川にはウェステルマン肺吸虫が寄生するカワニナがいることが知られています。ウェステルマン肺吸虫は、染色体の数から2倍体型と3倍体型に分けられ、千葉県で見つかった肺吸虫は2倍体型です。

※1 わが国における肺吸虫症の発生現況,IASR,vol.38,76―77(2017)
※2 ※3 両者とも吸虫類の幼虫

イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力

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