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2024
第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)は2023年12月13日にアラブ首長国連邦のドバイで閉幕し、「10年間で化石燃料からの脱却を図ること」で合意しました。「廃止」に近い「脱却」で意見がまとまったのは、COPでは初めてのことです。しかし、法的枠組みはなく、化石燃料の拡大につながる余地も残したとされます。COP28は会期を1日延長しましたが、その理由は、石油・ガス・石炭などの化石燃料の扱い方を巡り、各国で意見が割れたからです。
当初、成果文書案には「化石燃料の段階的廃止」が盛り込まれていました。この文書案には、欧州を中心に約100か国が賛同しました。しかし、サウジアラビアをはじめとする産油国などが反対したのです。
最終文書では「化石燃料の段階的廃止」は取り消され、「公正かつ秩序だった公平な方法でエネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却を図り、2050年までに(温室効果ガス排出の)実質ゼロを達成する」となりました。2030年に再生可能エネルギーの発電容量を3倍に拡大することも盛り込みました。ただし、「脱却」に向けた法的枠組みやタイムラインなど明確な道筋は入っていません。「化石燃料の段階的廃止」に反対していた国が合意した背景には、「各国の事情に合わせて、方法は自由に決められる」という文言の存在があったといいます。
『オルタナ』編集長森 摂
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