- 日替わりコラム
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3/25
2024
1994年、カーネギーメロン大学の行動経済学者ジョージ・ローウェンスタインは、「人の好奇心は知識の隙間に生まれる」という隙間理論を提唱しました。人は自分の知識に欠けている部分(隙間)を感じたとき、その隙間を埋めようと好奇心が湧くというのです。
1960年代、民放テレビ局ABCは、NCAA※ のアメリカンフットボールの放映権獲得に成功しました。当時、いかに人気のスポーツであったとはいえ、大学の試合では、選手の親類縁者や友人、大学OB程度しか視聴してくれませんでした。しかし、29歳の若手局員の視聴率改善提案書が事態を一変させます。試合前の時間を使って、シーズンの試合予定や現在までの戦績、対戦する2校のトレーニング風景や注目選手といった周辺情報を幅広く放映し、これから始まる試合に対する視聴者の興味をかき立てたのです。
今日、多くのスポーツ番組の導入部分で、選手の生い立ちや普段のトレーニング風景、この試合に対する思い、試合結果が選手にもたらす意味などの周辺情報を、かゆいところに手が届くかのように丁寧に放映します。これは隙間理論を活用した番組構成であり、より興味を持って番組を楽しんでもらうためのものなのです。この隙間理論、ヒット商品を生み出すためにも応用できるのではないでしょうか。
※ 全米大学体育協会
商品開発アドバイザーH・B 山越
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