- 日替わりコラム
Tue
4/2
2024
大阪大学大学院の岡本玲子教授らによる「保健師が『生を衛る役割』の活動を行うための『6つのワザ』」の1つ目はSearching(探索)です。探索とは、「知ろうとするものの有様やありかを探し求めること」です。
Searchingの一例として、岡本教授らはある地域における児童虐待防止の取組みを紹介しています。まず、母子健康手帳交付の機会を利用して、妊婦さん全員と面談することにしたそうです。さらに健診未受診者には家庭訪問を徹底し、子育て環境を把握、地域の民生委員にも気がかりなことがないか尋ねたそうです。このようにして把握した情報を集約し、課題を明確にして計画立案につなげました。一連の活動の前半は「実態探索」、後半は「実態顕在化」のワザと称されています。
この活動は、食品事業者が工場や店舗、倉庫や仕入れ先を訪問して点検などを行い、強みや課題を見出し、計画を立てて活動を行っていくこととよく似ています。つまり、点検や監査は手段であり、真の目的は実態の探索や顕在化であるといえます。扱う製品について、負の状態から脱するための軸である「食品が傷んでいない」、「食中毒の原因にならない」ということにとどまらず、正の方向へ向かう軸である「身体的・精神的・社会的にも良好な状態」であるウェルビーイングのための活動と位置付けることもできるでしょう。
リテールHACCP研究所山森純子
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