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5/17
2024
能登半島地震の被災地では、現在も多くの高齢者が避難所生活を送っていますが、認知症介護研究・研修仙台センターが2013年に発行した『避難所での認知症の人と家族支援ガイド』(支援者用※1 )には、東日本大震災後の避難所で実際に支援にあたられた514事業所、機関の方々へのアンケート調査から、震災直後に避難所で何が起こったかがまとめられています。調査によると、認知症の人は急激な環境の変化に弱く、BPSD※2 を発生させていたことが明らかになりました。避難所では、イライラして落ち着かない、徘徊、帰宅願望などの症状が多く見られ、中には地震や津波があったこと自体忘れてしまう人もいて、介護する側を疲弊させたといいます。
対応として、避難所では認知症の方専用のスペースの確保や、顔見知りの人が近くにいるなど静かに落ち着ける環境をつくること、認知症であることを周囲に理解してもらうことが重要とされています。また会話をするときは急がせない、驚かせない、自尊心を傷つけない、を心掛けると良いでしょう。
ちなみに現地の支援者の7割が認知症の人が避難所で過ごせる限界を「1~3日」と答えていることも明らかにしており、全国の自治体が本気で対応を考えるべきだといえます。
※1 避難所を支援した621事例から作った『避難所での認知症の人と家族支援ガイド』(支援者用)
https://www.dcnet.gr.jp/pdf/download/support/research/center3/201/201.pdf※2 「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」の略語。認知症の行動心理症状
介護福祉士中村和彦
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