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5/21
2024
ネズミから感染する病気でもっとも恐ろしいのはペストです。ネズミからノミ、ノミから人へと感染します。ペスト菌を伝播する代表種はケオプスネズミノミですが、ノミの唾液腺内に菌が繁殖しやすいため、ほかのノミでも媒介させることがあります。ペスト菌に感染しているノミに咬まれると、1~7日の潜伏期間を経て発熱、高熱が続き、めまいがして脈拍が弱くなり、精神にも異常をきたします。虚脱状態になり、皮膚が乾き、黒紫色をした大きな斑点ができるので「黒死病」とも呼ばれています。敗血症を起こすと死亡しますが、ペストには腺ペストと呼ばれる直接ノミから感染するものと、肺ペストと呼ばれる人から人へ感染するものがあります。一般には腺ペストが流行した後に肺ペストへ移行するといわれています。肺ペストになるとさらに致死率が高くなります。
ヨーロッパでも肺ペストが流行、猛威をふるい、14~18世紀にはヨーロッパ全人口の4分の1が死亡しました※ 。日本にも1899年(明治32年)に侵入、27年間にわたり数回の流行を繰り返しました。患者2905名、死者2420名を出したものの、大規模な感染拡大に至らなかったのは、「ペスト菌」がペストの原因であることを発見した北里柴三郎が、感染源であるネズミの駆除を徹底したためといわれています。その後、1927年(昭和2年)を境に発生はありません。
※ 諸説あり
イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力
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