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Thu

6/13

2024

人と犬と猫がともに暮らすこと(12)犬のシリカ結石症

 犬の病気に「シリカ結石症」があります。この結石症は関東地方では珍しく、私は50年近く臨床獣医師をしていますが、今まで1例しか診たことがありません。しかし、鹿児島県では珍しくないのだそうです。
 結石症の発症には食べものと飲み水が大きく関わっています。シリカ結石症になった犬の飼い主は「食餌は決まった市販のドッグフードと水は井戸水だけ。おやつは与えない」と言っていました。この症例を診た35年ほど前は、市販のフードには課題が見られるものもありましたが、その犬に与えられていたフードに危険性はありませんでした。となると、結石発症の原因は井戸水ということになります。
 鹿児島を覆っているシラス台地には、シリカが多く含まれています。一方で、関東地方を覆っている富士山の火山灰にはシリカは少ないのです。ただ2万9000年前から2万6000年前の姶良(あいら)カルデラの巨大噴火に伴う火山灰は、関東はおろか東北地方にも到達しており、関東ローム層の上に10cmほどの層を作っているそうです。姶良Tn火山灰というそうです。井戸が姶良Tn火山灰の層に届いていれば、飲み水にシリカが多く含まれていても不思議ではないと考えられます。2万数千年前の自然現象が、現代に生きる動物の病気の原因かもしれないことに、自然に対してさらなる畏怖の念を抱きます。

井本動物病院 院長井本史夫

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