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2024

もっと複雑で難しかった漢字

 毎日の生活の中で目にする漢字。漢字の多い文章には抵抗を覚える方も多いでしょう。しかし、太平洋戦争が終わるまでの日本社会では、もっとたくさんの漢字が、しかも難しい形で使われていました。
 大正8年に、当時の文部省は「漢字整理案」を発表しました。これは、漢字の形を簡単にし、より使いやすくすることを目指した提案でした。その前書きには、次のように記されています。
 現今我ガ國ニ行ハルゝ漢字ヲ見ルニ〈中略〉國民教育上漢字教授ノ徹底ヲ期スルコト困難ナルノミナラズ、實際上ノ不便亦尠シトセズ。
 (現在我が国で用いられている漢字を見ると〈中略〉国民への教育の徹底が難しいだけでなく、ふだんの生活上の不便もまた大変に多い。)
 この短い文の中にも、今では使わない「國(国)」や「實(実)」といった古い字体や、ほとんど見なくなった「亦(また)」、「尠(すくない)」などの漢字が見られます。この整理案はうまく浸透しませんでしたが、漢字の複雑さ難しさを軽減し、もっと使いやすく学びやすくするということは、明治期からの文部省の悲願でした。
 戦後すぐ、「当用漢字表」とその字体表が定められ、漢字の範囲を絞り、簡便な形にすることが実現しました。現在では「常用漢字表」が漢字使用の目安となり、学校で学ぶ漢字の範囲にもなっています。

文化庁国語課 主任国語調査官武田康宏

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