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Wed

6/19

2024

身近な生物毒素(3)マムシ

 ニホンマムシの学名はGloydius blomhoffii です。同じマムシ属のヘビは日本以外に中国、韓国、ロシアなどに生息しています。マムシは毒素を、敵から自分の身を守る武器として、また、生きるために獲物を捕る道具として活用しています。ヘビ毒液中には酵素、タンパク質、脂質などの成分が多種多量に含まれていることが分かってきました。構成される成分の違いは、生息する地域の環境により、捕食する獲物の種類や捕食者から身を守るために進化してきたと考えられています。
 健康な大人が咬まれた場合に重症化することはまれのようですが、子どもが咬まれると出血、浮腫、血圧降下、急性腎不全などの症状が強く観察されます。一方、獲物を食べやすくするために、血管壁細胞の破壊作用による出血で運動機能を阻害する成分、運動筋を麻痺させて吞み込みやすくする成分、筋肉や血液を分解する働きを持つ酵素などの成分が確認されています。
 患者にはウマに毒素を注射して得られる抗体を精製した抗毒素製剤が使用されてきました。ウマ抗毒素製剤は人にとって異種のタンパクであるため、血清病やアナフィラキシーショックを起こすおそれがあり、医療現場では使用の必要性は重篤性を指標として判断されているようです。近代医学で活用されている人抗体製剤の開発が期待されています。

熊本保健科学大学 生物毒素・抗毒素共同研究講座 特命教授髙橋元秀

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