- 日替わりコラム
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6/28
2024
ペストは、今でも世界中で散発的に発生し、アフリカやペルーをはじめ毎年1000~3000人の患者が発生しています。日本でも、感染した場合に危険性がきわめて高い1類感染症に分類されており、監視に手を抜くことはできません。ペストは、ペスト菌を保有するネズミなどのげっ歯類からノミを介して感染する人獣共通の感染症で、野生の動物間でも流行を繰り返しています。かつて毎年、推定2万頭以上がアメリカから輸入されていたプレーリードッグは、ペストを媒介することが指摘され、動物由来感染症の侵入を防ぐ目的から2003年に輸入が禁止されました。また、近年の検疫所のデータでは、那覇、福岡でネズミに寄生したケオプスネズミノミが多数見つかっています。しかし、そこからの広がりについて調べられた記録はありません。
私たちのような会社はペストコントロール業といわれますが、このペストは人に有害な生物(昆虫、獣、微生物など)すべてを指し、病気のペストではありません。ペストは英語で「Plague」といい、ペスト菌は学名で「Yersinia pestis」といいます。
今年から1000円札の肖像画となる北里柴三郎は、1894年(明治27年)、ペストの蔓延していた香港に派遣され、その原因菌であるペスト菌を発見するという大きな業績を上げました※ 。
※ 諸説あり
イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力
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