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9/18

2024

人生永遠のテーマを追った作家 向田邦子(14)『寺内貫太郎一家』(5)

 1970年代のホームドラマには、オープニングが必ず朝で、エンディングは同じ日の夜になるという鉄則がありました。これは『時間ですよ』で確立されたやり方で、朝食の大騒ぎに始まり、日中の事件や出来事を経て、特に季節行事については家族みんなで協力して行います。TBS水曜ドラマ『寺内貫太郎一家』でも、きん(樹木希林)が「ジュリ~」と叫んだり、当時のヒット番組のマネをしたり、間合いを利用して視聴者の心を掻き立てる「遊びのシーン」がたくさんあります。
 ただそれは、連続ドラマとしての単なる余興であり、核心につながるシーンはしっかりと描かれている秀作と捉えるべきです。足に障害を負った長女・静江(梶芽衣子)を気遣う長男・周平(西城秀樹)の献身的な兄弟愛が語られ、静江の恋人の上条がなぜ静江に惚れたのか?という本心が周平との会話でポツリと出てくる雨のシーンは心に響きます。
 『寺内貫太郎一家』というドラマは、ドタバタ喜劇ではなく、完成している家族がバランスを崩していく姿と、そこから新しい均衡が生まれる姿を着実に描いていきます。一家の女性たちがお月見の準備をしているときの、お手伝いのミヨコ(浅田美代子)がポツリと言ったセリフ、「あの人言ってましたよね。女はおしまいが幸せなほうが勝ちだねって」。おそらく、この言葉がこのドラマのすべてなのだろうと思います。

写真技術研究所別所就治

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