- 日替わりコラム
Thu
9/19
2024
筋肉と認知症の関係について、富山大学和漢医薬学総合研究所の研究が注目を集めています※1 。研究ではマウスの後ろ足を2週間ほど不動化し骨格筋を萎縮させたところ、認知症が発症したとのこと。その原因として萎縮した骨格筋から分泌されるヘモペキシンが脳に作用することを解明。動かさないことで衰えた筋肉から分泌される有害分子を発見したのです。
一方、運動することで、筋肉組織からイリシンという物質が分泌され、それが血流に乗って脳に運ばれると、脳内で脳由来神経細胞因子(BDNF)というたんぱく質を分泌。細胞の新生や再生を促し、脳の活動性を高め、認知症の予防につながるといわれています。運動と脳の認知機能については、中央大学と筑波大学の共同研究でも報告されています※2 。わずか10分間の軽運動でも、脳の中の注意・集中、判断、計画・行動能力などの認知機能を司る部位の活動が高まることを世界で初めて科学的に確認しています。
こうした研究から、元気なうちに筋トレや散歩などの有酸素運動を習慣化し、日常的に行うことで認知症のリスクを軽減することをお勧めします。また、介護保険をご利用中の方は、機能訓練型のデイサービスで筋トレに励んでみてはいかがでしょうか。
※ 1 T. Nagase, et al.(2021) Skeletal muscle atrophy-induced hemopexin accelerates onset of cognitive impairment in Alzheimer's disease, JCSM
※ 2 K. Byun, et al.(2014) Positive effect of acute mild exercise on executive function via arousal-related prefrontal activations: an fNIRS study,Neuro Image(98)
介護福祉士中村和彦
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