- 日替わりコラム
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10/11
2024
これまで、ウェルビーイングと食品衛生の関連性について、公衆のポジティブヘルスを推進する役割を担う保健師による「成解」を導くワザを援用して述べてきました。改めてウェルビーイングとは、近年は「幸福学」と位置付けられるように、個人が幸せであれば良いというものではなく、個人と社会、さらに地球レベルでの「より良い状態」を総合的に考えるもので、狭い意味での健康や、一時的な快楽や報酬によって高揚する気持ちとは異なるものです。
筆者は先日、同僚から心温まるメッセージをもらいました。佐々木敏先生の著書※ に付箋が貼ってあり、「食品衛生の仕事ってまさにこれですよね。いつも有難うございます」と書いてありました。著書には、「毎日献立を考えて、料理を作り続けることは、大変なのにあまり報われないように感じられるときがあること」、同じように「栄養学的な統計調査も、その大変さに対して、報いられないと感じる場面があること」が記されていました。さらに、このように続きます。「ここからわかるのは、真面目で地味で、人の健康を心から願う確かな仕事は意外に目立たず、そして顧みられないということです。逆に言えば、それこそがプロの仕事だと言うべきでしょう」。この言葉は、私だけでなく食品衛生に真摯に取り組んでいる多くの方に向けられたものだと思います。
※ 『行動栄養学とはなにか?』佐々木敏著 女子栄養大学出版部(2023)
リテールHACCP研究所山森純子
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