- 日替わりコラム
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10/18
2024
「認知症になったら、人生終わりだ」と思っている人が少なくないように思います。そして、介護に苦労してきた家族は、施設に入所できた際には「やっと終わった」という思いが強いでしょう。しかし、介護士の立場からは、それは終わりではなく、新たな始まりの時ととらえています。つまり入居者にとって施設は「新しい暮らしの始まり」であり、最後まで自分らしく生きていくための場であるといえます。
今年1月に施行された認知症基本法※ に基づく「認知症施策推進基本計画」が秋頃に閣議決定される予定であり、6月にその素案が示されました。「認知症になったら何もできなくなるのではなく、できること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間とつながりながら、役割を果たし、自分らしく暮らしたいという希望がある」など、認知症の人が認知症とともに希望をもって生きるという「新しい認知症観」に立つことが盛り込まれています。重点目標として、(1)認知症や認知症の人に対する国民の理解、(2)認知症の人の意思等の尊重、(3)認知症の人や家族等が他の人々と支え合いながら地域で安心して暮らせること、(4)認知症の新たな知見や技術の活用、という4項目を挙げています。
この認知症に対する新たな価値観を多くの方に知ってもらい、認知症への誤解や偏見を払拭する機会としてとらえてほしいと強く願っています。
※ 正式名称は「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」。
認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進することを目的に制定された
介護福祉士中村和彦
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