- 日替わりコラム
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12/24
2024
現在、多くの企業がハイブリッドワークに移行しつつあります。つまり、対面ワークとオンラインワークを使い分けているというわけです。そのような対面とオンラインが併用された結果、さまざまな問題も浮き彫りになってきました。そのひとつにオンラインワークにおける「心理的安全性」があります。
心理的安全性とは、その組織やグループ内のメンバーが素直に発言でき、懸念や疑問といった批判的な発言も安心してできる環境のことで、心理的安全性が低い組織は生産性が低くなるといわれています。ところが、心理的安全性が保たれている組織であっても、オンラインになると音声情報に対する依存度が高くなり、発話内容への不信感や疑心暗鬼につながる可能性を指摘する研究があります。たとえば、自分の発話の後に相手のため息が聞こえた場合、対面のときよりネガティブな感情に変換されやすいと指摘します。同様に、発話のタイミングが重なった場合、忖度して上司などに譲ってしまうといったことも起こり得ます。
発話のタイミング一致の回避や、日本的な「空気を読む」といった感覚への対応などが、まだまだオンラインでは不十分であることが浮き彫りになりつつあります。ICT※ が進化したとはいえ、このような心理的安全性をいかに担保するのか、まだまだ研究の余地がありそうです。
※ 情報通信技術。日本では、情報処理や通信に関する技術を総合的に指す用語としてITが普及したが、国際的にはICT が広く使われる
日本オフィス学会 副会長地主廣明
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