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Thu
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2025
サボテンが地球の未来を救う可能性を秘めていることをご存じでしょうか。
気候変動や人口増加への対応が喫緊の課題である現在において、驚異的な生命力をもつサボテンは新しい作物として世界で注目を集めており、食品・家畜飼料・加工品原料として30か国以上で栽培されています。2017年には、国連食糧農業機関(FAO)が「食用サボテンは世界の食料危機の大部分を救う答えになり得る」との見解を表明しています※ 。
食用に利用されるウチワサボテンは、最高気温55度以上の環境下でも生育することができ、数か月程度であれば断水しても枯死することはありません。栽培に必要となる水の量も、イネやトウモロコシに比べて4分の1以下です。さらに乾燥地だけでなく、アジア多雨地域の非常に痩せた土壌でも栽培が可能です。このような驚異的な生命力は、ほとんどの作物には到底まねできないサボテンの魅力です。今後、作物としてのサボテンの重要性はますます高まっていくと思われます。
1994年に、シチリアのジャーナリストはサボテンを「トゲの下に眠る財宝」と描写しました。サボテンは私たちの未来を支える力を秘めています。宝探しに参加する科学者の1人として、サボテンの魅力が広く認知され、活用が進むことを切に願います。
※ Inglese, P et al.,(2017). Crop ecology, cultivation and uses of cactus pear. FAO.
中部大学 応用生物学部堀部貴紀
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