- 日替わりコラム
Wed
2/19
2025
NPO法人を運営する中で「活動を始めたきっかけは?」と聞かれることがよくあります。「息子が3歳で亡くなったから」と答えることが多いのですが、それ以上説明することはあまりありません。
息子の病気は「先天性多発性関節拘縮(こうしゅく)症」。国立小児病院の診断では、心臓から遠い関節ほど固く可動域が狭い、原因不明の大変まれな病気とのこと。脳にも問題があったようで、人工呼吸器や中心静脈栄養となり、一度も退院できないまま桜の散る季節に旅立っていきました。
毎日面会に通っていた私には、大きな変化がありました。産後に頭が再編成されたかのように、まったく違った知覚や情報が入ってくるようになりました。本当に大切なもの、自分がこの人生でやらなければならないことなどがわかり、子を愛し守ることが生きがいとなりました。亡くなってからの何も手につかない時を経て、わが子から学んだ大切なことを実現したい、と活動を始めました。そして病気の子どもや原発避難親子の支援からこども食堂に出会いました。私の料理をもぐもぐと口を動かし食べてくれる。喜んでくれる。そんな普通の光景が私には感動で、自己満足だと思いつつも、こども食堂の活動に魅せられていったのです。
誰にでもできること、日常のこと、それがこども食堂の原点なのではと私は考えています。
NPO法人 こどもプロジェクト 代表福田恵美
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