- 日替わりコラム
Thu
2/20
2025
動物は大きくは肉食性、草食性、雑食性、その他に分かれます。当然、厳密に区分けはできませんが、歯の構造を見ると、おおよその食べものの見当がつくことがわかっています。たとえば肉食性の動物の歯は、捕食する動物を咥えやすいように犬歯が発達し、奥歯は肉を裂いて食べやすい構造になっています。ライオンやトラの歯を見ると理解できると思います。また、モグラの仲間も同じ歯の構造をしています。一方、草食性動物は前歯で草を刈り、奥歯ですり潰しやすい臼状の構造になっています。
それではネズミの仲間はどうでしょうか。ネズミの歯の特徴は前歯です。ネズミの前歯は切歯もしくは門歯とも呼ばれ、上下4本の前歯は伸び続けます。横から見ると上顎の歯と下顎の歯の形が異なることがわかります。上顎の歯はものを固定するだけでそれほど鋭くはなく、下顎の歯は鋭くノミのようにものを削り取れます。また肉食性の動物のように犬歯はありません。この歯の構造から、ネズミ類は堅果(けんか)類(ドングリやクルミ)のような他の動物では食べにくいものを選択して食べていることがわかります。つまりネズミ類は、種子食者でありながら虫や肉もよく食べる雑食性といえるでしょう。犬歯がないことで、いわゆる堅果の渋皮を口から容易に出すこともできます。
イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力
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