- 日替わりコラム
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2/21
2025
「戦わずして勝つ」とは、中国古代の孫子の兵法からきているといわれています。その中に、「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」という一節があります。
室町時代の剣豪・塚原卜伝(つかはらぼくでん)は、渡し船の上で相乗りした武士に突然戦いを挑まれますが、中洲で決着をつけようと先に相手を洲に上がるように促した後、自分は下船せず竿を突いて洲から離れ、無益な戦いを回避したそうです。そして「戦わずして勝つ、これが無手勝流(むてかつりゅう)だ」という言葉を残したといわれます。似たような言葉に「逃げるが勝ち」、「負けるが勝ち」などがあります。言わんとすることに微妙なニュアンスの違いはありますが、いずれも直接的な戦いを避け、状況に応じて柔軟に対応することの重要性を伝えています。
ビジネスの世界では競合他社との価格競争が激しいレッドオーシャン※1 という市場がありますが、このような双方が傷つく可能性のある直接的な戦いは、可能であれば避けるべきです。そのためにはマーケティング戦略が必要となるのです。戦略は「戦いを略す」と書きますが、「戦わずして勝つ」には、商品やサービスにおいて、価格競争に持ち込まないための明確な差別化や新たな価値創造が必要になります。いわゆるUSP※2 を必要とするということなのです。
※1 競争が激しく、多くの企業が市場シェアを争う既存市場を指すビジネス戦略用語。対義語として、競争のない未開拓市場をブルーオーシャンという
※2 Unique Selling Proposition の略。自社の商品やサービスの持つ独自の強み
商品開発アドバイザーH・B 山越
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