- 日替わりコラム
Fri
3/7
2025
相続が開始した場合に、被相続人の法定相続人が複数いる場合には、相続人全員による遺産分割協議が整わない限り、預金の払戻しができないのが原則でした。しかし、遺産分割協議には長い期間がかかることもあり、配偶者や子どもなどの扶養家族の日常生活に支障が生じることや、被相続人の未払い債務の支払いの必要上、遺産分割協議成立前でも被相続人の預金の払戻しを認める必要性がありました。
そのため、2018年の民法改正により、各共同相続人は遺産に属する預貯金債権のうち、相続開始時の預金額の3分の1に、各共同相続人の法定相続分を乗じた額について、預金の払戻しが認められることになりました(民法909条の2)。ただし、その上限額は現在、法務省令で150万円と定められています。たとえば、被相続人の預金額が1200万円で相続人が子2人の場合は、1200万÷3×0.5(法定相続分)となり、200万円ですが、この場合は法務省の上限額である150万円までの金額を各相続人が単独で払戻すことができます。この権利行使には、通常、被相続人の除籍謄本と法定相続人の全員の戸籍謄本、払戻しを希望する相続人の印鑑証明書を金融機関に提出する必要があります。この制度により払戻された預金は、当該権利を行使した共同相続人が遺産の一部の分割により取得したものとみなされます。
アジアンタム法律事務所 弁護士高橋辰三
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス