- 日替わりコラム
Thu
4/17
2025
人は頭の中で物事を考えるのに言葉を使っています。日本人は日本語で、アメリカ人は英語で、フランス人はフランス語で、など基本的にそれぞれ母国語で思考しています。そして、その語彙力が高いほど、思考速度は上がり、深みも増します。たとえば、ある複雑な状況や現象を説明するのに、適した言葉を知っている場合とそうではない場合では、相手への伝わり方が変わってくるのです。すべてのことが言葉で表現できるかどうかは別にして、語彙が多いほうがより的確に伝えることが可能となるのです。
ボクシングのモハメッド・アリ※1 は、記者に次の試合の戦略を尋ねられて「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と言ったといわれます。日本語ならオノマトペ※2 を使い、「相手が打ってきたらヒラリとかわし、ここぞというところでバシッと打つ」というような説明になるのかもしれませんが、抽象的なことを具体的な言葉に置き換えることで、軽いフットワークと鋭いパンチという戦略をわかりやすく伝えることができたのです。
語彙力とは、多くの単語や表現を知り、状況に応じて適切に使いこなす能力のことであり、難しい言葉を多く覚えればよいということではないのです。難しい言葉を使うときには、相手や状況に応じてやさしい言葉で補足したいものです。
※1 本名はカシアス・マーセラス・クレイ・ジュニア。
元米プロボクサー、元WBA・WBC 世界ヘビー級統一王者、ローマオリンピック(1960年)ライトヘビー級金メダリスト
※2 音・声・物事の状態や動きなどを音(オン)で表した語
商品開発アドバイザーH・B 山越
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