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DAILY COLUMN

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Wed

8/17

2022

看護は人間だけのものか

 長引くコロナ禍で外出を控えるようになったことをきっかけに、犬や猫との暮らしを始めた家庭が少なくありません。ペットフード協会の推計によると、2021年の犬猫の飼育数は約1600万頭。15歳未満の子どもの数を上回っており、ペットに高度な医療を求める飼い主も増えています。こうした動向を予測していたかのように、今年5月1日から「愛玩動物看護師法」が施行されました。国家試験に合格した動物看護師は、これまでの業界による民間試験合格者にはできなかった採血や投薬ができるようになりました。
 かつて私は、文部科学省・大学設置審議会の看護学や農学関係の分科会長を務めたことがあります。新たな学部や学科を新設したり、収容定員を増やしたりする場合には、この審議会で審議し認可します。ある時、「動物看護学部」を新設したいという案件を審議しました。動物の看護学部は初めてのことでしたので分科会には人間の看護学の専門家しかおらず、その方が「看護は人間に対してのみ使われる言葉なので、新設に賛成できない」と主張されたのです。そこで私は、「医学は人間だけでなく、”獣“医学のように動物に対しても使われている。看護学はそんなに狭量な分野ですか」とお尋ねしたら返事がなく、無事に新設が認められました。「愛玩動物看護師法」の施行は隔世の感があります。

一般財団法人 環境文化創造研究所 名誉所長林良博

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